期 日:1999年3月27日〜28日
メンバー:L節田/山口/小日向/高橋/近藤/中山/冨田/川名
行 程:
3/27(土)逗子駅08:00→八王子ic→駒ヶ根ic→ロープウェイ駅〜宝剣山荘(泊)
3/28(日)宝剣山荘8:00〜木曽駒ヶ岳ピストン(2h)/宝剣岳ピストン(0.5h)
山荘発11:30〜ロープウェイ駅→駒ヶ根市内→駒ヶ根ic→新宿19:30
某社アルパイン倶楽部との山行は、'97の八方〜唐松岳の時から二回目となる。以前一緒に登った節田氏、山口氏、小日向氏のゴールデントリオに新たなメンバーが加わり、今回は8名参加となる。カンスケとトラ杉さんが相次ぎ不参加となったのが残念だが、今回は森羅からゆーちゃんと金ちゃんが加わり、グッとにぎやかになったと思う。なにせ私は初めての中央アルプスでもあり、ほとんど小日向さんにおんぶにだっこの状態だったが、2日目は快晴となり、充実した山行を味わえた。
3/27(土)[雨男は誰だの巻]
逗子在住の小日向車に同乗するため6時半に逗子駅集合。途中八王子までの道が若干混んでいたが、高速に乗ったら順調に走り出した。 今回は小日向さんの車に我ら三人が乗り早朝出発。他のメンバーは現地の駒ヶ根に前夜泊している。順調に走っても駒ヶ根に着いてロープウェイに乗るには10時を過ぎる。途中、諏訪saを過ぎて山口さんに電話をすると、案の定先に登るという。我らよりおそらく1〜2時間は早く宝剣山荘に到着するのだろう。
途中車をデポし雨足が強くなった中、路線バスに乗り換える。何でも気圧の谷が通過中だそうで、西に来るほど雨が強くなり、ロープーウェイ駅に着いた頃は本降り状態だった。こんな天気なのでロープーウェイに乗る人も少ない、こんな天気で上に登っても、濃い霧しか見えないはずだから当たり前だ。我らの他には、おそらくホテル千畳敷に泊まるのだろう、カメラを担いだ登山姿の人が数名乗っただけだった。
ロープーウェイはあっという間に千畳敷に到着。ホテルの支配人の方に挨拶をして、早めの昼食を取る。先行の節田グループは、1時間ほど前に出発して行ったようだ。雪は落ち着いているので表層の危険は無いが、全層雪崩れの危険はあるから注意するようにと脅かされて出発をする。視界は10メートル程、みぞれっぽい雨が降っているが降りは弱くなった。先行パーティの踏み跡があり、視界が無くても不安は無い。実は今回、宝剣山荘のご主人が先行組と一緒に登っているはずだ。通常はお休みのところを、我らのために小屋を開けてくれる事になり、一緒に登っているのだが、このルートの道案内としては一番の適任者だろう。ルートは、最初緩く下りやがて登りになる。乳白色に包まれて、たまにロープウェイ駅からの放送が聞こえるだけの静かな斜面をひたすら登る。傾斜は段々ときつくなり、やがてまわりに岩が現れだした。しかし何せ初めての場所なので、もうすぐなのかまだまだなのかよく分からないまま登る。気がつくとみぞれはしめっぽい雪に変わっていた。標高のせいなのだろう。
傾斜が一段と急になった頃、ふっと稜線らしきものが現れた。所々地面が現れていて春っぽい。テントが一張りあった。稜線に出ると直ぐに小屋が現れた。弱い北西風が吹いているので気圧の谷はすでに通過して、冬型になりつつあるのだろう。
午後の2時過ぎ宝剣山荘到着。すでにくつろぎ状態の先行組と合流した。濡れた雨具や登山靴をストーブのまわりに並べ、落ち着いてから全員の自己紹介が始まる。今回、私が初めてお会いしたのはお二人だ。まず久しぶりに山に登ったという節田氏の大学山岳部の先輩の高橋氏、そして山岳カメラマンとして有名な近藤氏だ。全員自己紹介を済ませTVの相撲中継鑑賞会となる。夕飯までは少し時間があったので、昨晩ほとんど寝ていない私は少し布団に入らせてもらった。
鍋料理メインの豪華な夕食の後、窓から顔を出してみるとなんと星が輝いている。ご主人の話では、中央アルプスは冬型になると晴れるとの事で、小屋に届く天気図FAXもそれを裏付けていた。明日は日の出を見ようと小日向さんが張り切る。午後9時、小屋の発電器が止まり電気が消えたとたんに私は夢の世界だった。
3/28(日)[晴れ男は誰だの巻]
快晴だ。雲一つない。というか、ビッシリと引き詰められた雲海は眼下にある。だけど上には一つの雲もない。昨日あれだけ悪い天気だったのに、この変わり様はいったいなんだっていうんだ。5時ジャストにかけた目覚ましを止めてから10分後、急いで身支度を済ませ外に出る。さすがに寒いが、耐えられない寒さでもない。かえって身が引き締まってシャキッとする。すでに東の空はオレンジ色で、早くベストポジションへ着かないと太陽が出てしまう。小屋の入り口から見えるポジションには、すでに小屋のご主人と近藤さんがでかい三脚を立てている。ちょっと出遅れてしまった。急いで歩く。 大きな太陽は鋸岳の横から現れた。ピラミッド型に伸びた、甲斐駒のシルエットが美しい。正月元旦の日の出は、富士山の上から出たそうで、ほんの3ヶ月ほどでだいぶ位置が変わる。見る見る登り始める太陽を全員無言でシャッターを切る。やっぱり山の写真は朝だなぁとつくづく思う。しかし私は朝寝坊だから、山でこんなにゆっくりと日の出を見るのは何年ぶりだろう(何年!)。ところで近藤氏がチョットカメラを離れた時に内緒で彼のファインダーを覗いてみる。「ん〜やっぱり違うよ…」と思った。三脚を立てる位置やフレーミングで微妙に光や影が違うのだ。今更ながら感心してしまった。
太陽がある程度まで上がると、今度はその太陽が当たった山達がモデルとなる。特に朝日を正面に受けた宝剣岳は圧巻だ。見る見る変わっていく光と影を近藤さんやご主人は三脚を担いで追いかけている。ふつう風景写真って"静"のイメージがあるのだが、これはまさしく"動"の写真だと思った。 しかしふと気づくと登山者が多い。下の千畳敷ホテルに泊まっていたのだろう、我々が写真を取り終えた頃から続々と登ってきている。もっとも八ヶ岳などに比べれば数は知れているが、それでも手軽に登れるとあってなかなかの人気だ。やはり関西系の人が多い。やがて太陽もかなり昇り、写真も撮りきり小屋へ帰る。
昨日の鍋の残りで作るおじやがまた最高に美味しかった。ゆっくりと朝食を取り、今度は木曽駒だ。片道一時間程度との事だが、一様行動食を入れたザックを担ぎ出発する。近藤氏は何度も行ってるからとお休み。
木曽駒への道のりはなだらかな稜線歩きという感じだ。雪の斜面にアイゼンの効きがいい。一歩一歩高度を稼ぎ振り返ると、先ほどとはまた違った景色が広がる。中でも、宝剣だけが唐突に尖っているのが印象的だ。閉鎖中の頂上山荘を過ぎ、雪の大斜面を登り切ると標高2849メートルの木曽駒ヶ岳の山頂に到着。さすがにこれだけのお天気だけあって、景色は最高にいい。槍穂は重なってあまり格好良く見えないが、それでもヘビーな重なりは分かる。近くに御嶽山と乗鞍岳が見える。逆光で見にくいが、南アルプスの山々もまた一段と広々と見えた。近場には、やはりモコッと尖った宝剣とその先に空木岳への稜線が分かる。全員で乗鞍岳をバックに写真を撮る。山は一向に悪くなる気配が無い。考えたらまだ10時前だ。
山頂での景色を楽しんだ後、森羅メンバーのみ少しゆっくりしてから下山開始。これだけのいい天気なのだからのんびりしたくなる。しかし最近は毎回毎回晴れるので、私の雨男さらにゆーちゃんの雨男も返上だな。ちなみにGWは穂高を予定しているが、このままの勢いで、GWも登りたいものだ。途中、2〜3パーティとすれ違って、所要時間約1時間半で小屋に帰り着いた。小屋の前から宝剣へのルートがよく見える。稜線通しにも登れそうだが、右側の斜面にルートがあるようだ。ザイルをフィックスしているパーティがいた。
小屋に着いて、コーヒーを味わっていたら、小日向さんにせかされて早々と宝剣へ行くことにする。こちらは行く人が少なくて、小日向さんとゆーちゃんと私の三人だけとなった。下から見た限りでは少し厳しそうなので、念のため山口さんが持参したザイルを持っていくことにした。
さてそして宝剣岳。下から見て順番待ちをしているように見えたのだが、実は山頂に登りに行ってるパーティの留守組だった。私たちが登りだしたら、丁度先ほどフィックスをかけていたそのパーティが降りてきた。まだ架かっているザイルをまたいで登る。最初に現れた雪の斜面が沢筋に落ちているが、フィックスしなくても大丈夫そうて、三人ともそのまま進む。やがて夏道通しであろうクサリ場が現れたが、結局山頂までザイルは使わずに登った。少しばかり緊張して行ったのだが拍子抜けしてしまった。小屋から山頂まで10分かからなかった。
さすがに木曽駒の山頂ほどではないが、それでも景色はいい。特に千畳敷のホテルが真下に見えて高度感は抜群だ。木曽駒のようななだらかな山頂もいいが、この宝剣のように高度感のある山頂も好きだ。小粒でキリリと辛いという印象だ。山頂の岩の上にカメラを置き記念写真を一枚撮り下山開始。クサリ場は登りよりも下りの方が少し手間取ったが、結局は往復で30分もかからない登山だった。
小屋を閉めるご主人を待って、最後に全員で記念写真を撮る。いつの間にか節田さんと高橋さんは先に降りてしまっていて、写真の中にはいない(^^;。我らも急いで追いかける。日はかなり高く昇り、雪も腐りだした。アイゼンに団子になる雪を落としながら急斜面を下り、途中から尻セイドーをして千畳敷に下り着く。この時間になっても登ってくる人がいて、少しビックリした。気がつくとガスがわき出していて、時折雲が横切る。
千畳敷ホテルで軽く昼食をとる。もちろん全員で乾杯。もちろんビールはキリンビール。(ってこれは分かる人にしか分からない)さてロープウェイに乗る。さすがにこんなにいい天気の日曜日だけあって、昨日とは大違いに沢山の観光客と通勤ラッシュ状態の車内に入る。ロープウェイに接続しているバスに乗り、車を止めた駐車場へ向かう。すっかり乾いた地面に荷物を広げて整理した。お疲れさまでした。
[そして帰り道]
帰りに宮田村の"こまゆき荘"と言う温泉に入る(入浴料500円)。川向こうの正面に隣町の温泉があるが、こちらの方が人が少なくて気持ちがいい。さらに風呂場から南アルプスの大展望が楽しめていい。一泊二日の短い山行だったが、少し日に焼けた顔を洗う瞬間、ほっと満足感を味わえる。そんな山旅が好きだ。
以上 川名 匡
Digital Mountaineering Photo Gallery
[ 番外編 ]
帰りに駒ヶ根名物"ソースカツ丼"を食べに行く。カツ丼好きの私も思わず唸る味だったっす……美味い!
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一級遊び人:川名 匡
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