1997.12/10up

北ア・前穂北尾根

岩稜登擧


前穂北尾根2峰のピークで万歳をするカンスケ


3・4のコルにて
期  日:1997年8月27日〜30日
メンバー:L川名/菅野(カンスケ)

08/27(水)天候:晴れ
横須賀→八王子→松本→上高地1130〜明神〜徳沢園1500(泊)

 早朝横須賀を出発。松本で食料の買い出しを済ませ上高地に向かう。登擧用具もあるので今回は少し荷物が重く、今日は徳沢泊まりとする。徳沢園でソフトクリームを食べようとしたら機械の故障とかで売っていない。がっかりしながらそれでもしっかりと生ビールを飲んだ。しかし夕食に松本で買ってきた馬刺を食べようとしたらしょうゆが無いことに気づく。ではと思った塩も無い。せっかく"上"と"特上"があって、奮発して"特上"を買ったのについていない。当然特上どころか、下を買って食べてもしょうゆを漬けた方が美味しいだろうなぁ……。ザックの中をゴソゴソやったらコショウが出てきたのでそれを付けて食べたが、何かしまらない味だった。結局アイスクリームから、食べ物についてない日だった。こんな日はおとなしく寝るにかぎる。

08/28(木)天候:晴れ
徳沢園0900〜横尾1030〜本谷橋1200〜涸沢1400(泊)

 おとなしく(早く)寝たはずなのに起きたらもう陽射しが上にあった。まわりに合ったテントも無くなっていて、なぜかテントから出るのが恥ずかしい。明日は涸沢までだからとゆっくりしていたのが仇になり、結局出発は9時を過ぎてしまった。昨日いた高校生の集団(たぶん学校全部で来ている)もすでに出発している。こんな事人には言えない。二人だけで来て良かった。内緒内緒……。
 本谷橋で休んでいたら、昨日の晩に徳沢の貸テントに寝ていたあの高校生集団だ。下山してきたところを見ると涸沢まで行って帰ってきたらしい。ん……すでに我らと3〜4時間の差がある。さて出発しなくてはと思い立ち上がったが、後から後からその集団が下りてくる。すごい人数だ。結局立ち上がってから5分以上待たされて歩き出すことが出来た。だったら座って待っていればよかった。……登りがきつい。涸沢着14時。日が陰らないうちに生ビールで乾杯。涸沢はジョッキで飲むビールがあるから来る様なものだ。飲み終わってからテント場の届けをしていない事に気づいた。

08/29(金)天候:晴れ
涸沢0500〜5・6のコル0630/0700〜3・4のコル0900/0930〜前穂山頂1100/1130〜奥穂高岳1300〜穂高山荘1330/1400〜(ザイテン)〜涸沢1500(泊)

 今日はなぜか暗いうちに起きられた。まだ4時だ。珍しい事もあるものだ。やっぱり一様岩だから、少し緊張しているのかな? 手早く食事を済ませ出発。前には誰も登っていない。すわ我らが一番乗りかと思いきや、ハアハア言いながらたどり着いた5・6のコルにはすでに人がいた。

3峰〜2峰へ
左から、3峰の1ピッチ目/2ピッチ目/3ピッチ目/2・3のコル

 さて、5・6のコルからいよいよ北尾根の登りだ。今回はカンスケの「北尾根に行きた〜い」の一言でやってきたのだが、私も夏場の北尾根は3年ぶり位だ。4峰が最近悪いと聞いているので少し気を引き締めた。
 5峰のピークは難なく通り過ぎ、4・5のコルに着いたら、先ほど我らが稜線にたどり着いたときにいた先行パーティが休んでいた。なにやらルート図を見ている。我らが近づくと「お先にどうぞ」と言う。せっかく腰を下ろして休もうと思っていたのに、お陰でそのまま通過した。この4峰の登りから岩稜らしくなってくる。ルートファインディングが必要だ。何も考えずに登っていると変なところに行ってしまう。ところで先ほど先頭を譲ってくれたパーティだが、私たちに追い越させてからすぐに歩き出し、ピッタリ後ろを着いてくる。これってどういう事?

2峰のピークにて
 4峰の登りの丁度真ん中辺り、我らは右にルートを取った。後続パーティはその場所に止まってルート図を出していた。ちょっと不安になったが、そのまま登っていたら、後続パーティは左に行ってしまった。あれ?俺違ったかな?と思いつつ、そのまま登る。ずっとノーザイルで登ったが、最後の方は少し怖かった。最後のボロボロの岩を越えて4峰のピークにたどり着く。程なく3・4のコル到着。ここで30分程も休んだが例の後続組が現れない。さては追い越されたかな?でもここからザイルを出すのに、見えなくなるほど先にも行けないだろうと思いながら、実は少し心配しながら取り付きに自己ビレーを取り出していたらひょっこり4峰のピークに彼らが現れた。ザイルでも出していたのだろうか?
 さて3峰の登りは今回唯一ザイルを出すピッチ。ここは来たがっていたカンスケにリードさせてあげる事にする。尻を一発叩いて、って実は肩を叩いて、「そら行け!」と言って送り出した。 延びていくザイルを両手に感じながら、槍ヶ岳などをしばし眺める。そして私の番。カンスケのビレーを感じながらグングン登る。2ピッチ目は見た目にもノーザイルで行けそうだがそのまま私がリードして登る。ザイルをめいっぱい延ばしてピッチ終了。少々ザイルが重くなった。3ピッチ目は立っているが安定している岩で大丈夫そうなのでザイルをしまう。ここから一登りで3峰のピークに着いた。2・3のコルはほとんど気づかないうちに通過。本峰まで後わずか、2峰のピークで記念写真を撮る。さてどうせだからと、カンスケを2峰のピークに残し、私一人クライムダウン。本峰を少し登って振り返りカンスケを撮る。(それが一番上の写真)
 前穂の山頂でしばし休憩する。後続のパーティが2峰辺りに来たら写真を撮ろうとしばらく待ったが、とうとう現れず、諦めて出発した。目指すは奥穂高岳。ところで後続のパーティだが、我らが吊り尾根の最低鞍部を歩いている時、遠く2峰を懸垂下降する姿が見えた。どうやらこんなにいい天気の中、今日北尾根を登ったのは2パーティのみだったようだ。

前穂と奥穂にて

 穂高山荘前でお茶しようと決め、奥穂は記念写真を撮るだけで通過した。登山者がいっぱい居てガヤガヤとうるさかった為でもある。山は静かな方がいい。
 やがて穂高山荘着。トイレを済ませ、山荘前の石の上でチキンラーメンとお茶をしているとカンスケの会社主催のツアーの一行が現れる。同僚も来ているかもしれないとカンスケが引率の人に聞いたら社員さんは涸沢に居ると言う。山で同僚に会うってどんな感じなんだろう。お腹も満たされて下山開始。ザイテングラードの下りは、ちょっと疲れてしまった。テントにたどり着いたとき、足の疲れに今日の行程の長さを感じた。

前穂北尾根 山口さん
 結構バテた体にむち打ってテントで装備を片付けてから、涸沢ヒュッテにおでんを肴に生ビールを飲みに行くと、先ほど上で話に出たカンスケの会社の人達に会った。カンスケの同僚の女の子も、これもたまたま偶然だったが家族で登りに来ているのにばったり。なんと涸沢はカンスケの知り合いであふれていた。上司の方に、なんと私まで生ビールをごちそうになってしまった。しかも二杯も!しかもしかもテントで飲めばとワインのおみやげまで……。1時間ほどベンチでお話をして別れたが、どうもごちそうさまでした。またどこかでお会いしたいです。(^^;




下山
08/30(土)天候:晴れ
涸沢1000〜横尾1120〜徳沢1200/1230〜上高地1500/1630→松本1800→八王子→横須賀22 00

 ゆっくり起きて急いで下山。今日は上高地まで下るだけだが、できればお風呂に入りたい。荷物もだいぶ軽くなった。快調に(?)飛ばし、途中徳沢園に寄るとなんとソフトクリームの立て札。しっかり食べる。バスターミナルまでそのまま下り、バスの整理券を取ってから上高地温泉ホテルに向かう。ここで一風呂浴びてさっぱりする。しかしお風呂の外来入浴時間が残りあと30分だった。危ない危ない。ところで、松本で行きに寄ったスーパーに出向き、馬刺を買って帰りのあずさの車内でつっつく。今日は"特上"が無かったが、勿論同じ失敗はしない。しっかりとしょうゆに付けて食べた。なんと贅沢な事か、"おろししょうが"まである。どうやらつきが回ってきたようだ。とっても美味かった。これからはどこに行くにもしょうゆを持っていこう。

 以上

川名 匡(写真と文) 


[Copyright(c) 1997 by Tadashi Kawana]


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