登山場面における登山者の不安傾向の差


平成9年1月11日

昭和女子大学        
心理学科4年:菅野 由起子 
  指導教員:岩脇 三良教授

目次

I....序文  II...仮説  III..方法  IV...結果  V....考察  VI...要約
VII..後書き VIII.参考文献 IX...資料


I....序文

 10年くらい前から、登山の人気が上がってきている。余暇開発センター(1995)の報告によると、1994年のスポーツ参加人口調査で、約820万人のひとが登山をし、女性においては余暇活動参加率順位でベスト11位に入り込むくらいまでになってきている。また、「今後やってみたい(今後も続けたい)スポーツ・ベスト10」という調査では、15.9%の人が登山をあげており、9位にランク付けられている(レジャー白書'95)。この登山人気は特に中高年の間で見られ、「中高年登山ブーム」として話題になったりもした。また、若者の間でもアウトドアブームが広がり、仲間と一緒に山に入るお洒落な格好をした若者達をよく見かけるようになってきた。このように中高年や若者のハイキングを主体にした山登り形態が増えてきたことから、登山と言えば“山岳部の山男”的感覚であった以前に比べ、大分身近で軽い気持ちから参加する人が増えてきているように思われる。
 しかし、一般的にはやはり「登山は危険である」というイメージがまだまだ根強いようである。そして、実際数多くの事故が毎年起こっているのである。平成6年の全国の事故発生件数は774件にのぼり、死者206名、負傷者341名を出している(長野県警察山岳救助隊編「ザイルをかついだお巡りさん」)。このように、ここ約40年の間に毎年必ず100人以上の死者がでており、多い時には270名もの人が一年間の内に山で亡くなっているのである。それでもなお山に登ろうとする登山家(者)に対して“冒険心あふれる勇敢な人物”として憧れを抱たり、時には人々の間で話題に上がったりということも度々ある。マッキンリーで消息不明となったままの植村直己は誰もが知るところの人であり、彼の冒険は映画にもなったほどである。
 このように、危険があるにも関わらず挑戦しようとする登山家たちの姿に関心を抱いた心理学者たちは「なぜ山に登るのか」という研究を始めた。Patey(1969)は、その答えとして『本能』をあげ、「類猿の先祖からその能力を遺伝されているから山登りを楽しむのだ」と述べた。それに対し、Anderson(1970)は『ユリシーズの要因』の探索衝動を仮定し、ひとがなぜ危険な冒険活動をしようとするのかを説明しようとした。その後、これら『本能』や『衝動』は科学的に検証できないことから一般的ではないという意見が出され、新たな考えとして『内因的動機づけ』があげられた。内因的動機づけ、つまり他の報酬を期待することなしにただ楽しむために行っているという説である。そして人が危険なスポーツに参加することも「ある人々にとっては、困難性や危険は、そのものが本来魅力的にみえ、こうして彼らは、危険は認めるが、それが楽しいのだと主張するのである」(Helen.E.Ross,1976)と結論づけた。この「魅力的な危険を楽しむため」という動機の他に、『内因的動機づけ』には「“フロー状態”を求めるため」という動機も一説にあげられている。フロー(flow)とは、「全人的に行為に没頭しているときに人が感じる包括的感覚のこと」(チクセントミハイ)であり、ある行為において、技能を用いる機会と自分の持っている技能レベルが適合したときに経験される。このチクセントミハイによる『フロー』の研究では、登山の中でもロッククライミングを取り上げて行われた。
 以上、登山を題材としたこれまでの研究では、「なぜ登山という、時には危険をも伴う活動に人は引かれるのか」という登山をする理由、登山の楽しみを探ろうとするものが多く、不安に焦点を当てた研究は少ない。チクセントミハイの実験の中で、被験者にクライミングが危険か否かを質問したところ、30人中21人が危険を否定した。その答えを幾つか取り上げると以下のような例があった。
「いや、車を運転するくらいの危険しか考えないです。」
「スポーツというのは、それ自体安全なものです。車の運転より安全です。」
「危険なことはほとんどありません。ハイド・パークを歩くようなもんです。」
「クライミングは道路を歩くより安全だと思います。」
 上記のように、よく登山における危険を道路上の危険と比較して例えた記述を目にするが、果たして本当に山にいるときの方が安全で、安心して歩くことが出来るのであろうか。筆者自身、4年前から登山を始めて山に登っているが、普段道路を歩いているときと山道を歩いているときとを比べると、やはり山に登っているときの方がはるかに危険を感じ、緊張感を持って歩いている。確かに山も道路も共に危険を持ってはいるが、『天候の急変』が起こりうる点で山の方が危険であると言えよう。
 この天候の急変や天候の悪化など『天候』に関わることから、筆者自身、何度か登山中に不安を感じたことがある。強風時の尾根歩きで、飛ばされそうになりながらの歩行、台風接近のため徐々に雨風が強くなってきた時、思い掛けないことから登攀に時間がかかり、暗い中の下山となった時など。
 天候についての不安は、数々の記録を作り上げた有名な登山家も、その著書の中で述べている。ラインホルト・メスナーは、エヴェレスト無酸素登攀や単独初登攀、8000メートル峰完全制覇など多くの挑戦を成功させた登山家であるが、彼の登攀の記録を書き記した書、「ラインホルトメスナー自伝・自由なる魂を求めて」(1992年、TBSブリタニカ)の中で次のように述べている。「山では落石や雪崩、あるいは天候の急変ほど怖いものはない。・・・・・いったん天気が変わると、もう人間の力ではいかんともしがたくなる」。そのほか、雷鳴がとどろく中の行動の恐怖や、雪に悩まされ不安を感じたということが書かれている。
 それから筆者が山で感じた不安として、『技術的困難さ』からくる不安があった。これまで自分が登ったことがないレベルの山に挑戦しようとその岩壁を目の前にしたとき、本当に自分に登攀が可能なのかどうかひどく狼狽えたことがあった。メスナーもこういった不安を書いている。次の文は、彼が遠征隊を組んでネパールにあるダウラギリに挑戦したときのものである。「どんよりとした恐怖感で心がいっぱいになった。ペーターのほうにちらっと目をやった。彼は進み続ける気があるのだろうか?答えはノーだ。そのひきつった不安そうな顔がすべてを物語っていた」。
 このように、登山において不安が存在することは確かである。しかし、登山における不安の報告には個人的体験の記述が多く、これまでのアカデミックな研究で登山における『不安』を取り上げたものは少ない。一体、登山者は何に対し危険を感じ、より強く不安を感じているのだろうか。登山者の不安内容を調査し、統計を取ることにより、比較的研究資料の少ない登山者の不安を客観的に明らかにし、不安研究の分野に寄与すると共に、登山グループのリーダーに対する参考資料を提供することが本研究の主要目的である。

 さらに、スポーツともっとも強く相関する要因とされる性に着目し、不安感に性差が生じるかどうか、そして登山のいかなる側面でどのように生じているのかも明らかにする必要がある。
 また、経験豊かな登山者と経験の少ない登山者によっても、不安の内容や強さに差が生じるのではないだろうか。そこで、登山歴の違いや、雪崩や遭難経験の有無によって不安感に差が生じるかどうかも明らかにする必要がある。


II...仮説

 登山者の不安を題材にした先行研究が少ないため、本研究の仮説は、これまで心理学研究で行われてきた一般的な不安研究と、筆者自身の経験に基づいて立てることにする。

 これまでに、心理学の分野では、不安傾向における性差の研究が数多くなされてきている。ケーラーら(Keller,E.D.&Rowley,V.N.)が1962年に行った研究では、小学校の四年生から中学三年生までの男女に不安傾向検査を行い、その結果、小学生では男女間に有意差は認められなかったが、中学生では有意差が認められ、女子の方が不安傾向が高いという報告をしている。また、間宮武(1976)が行った田研式不安傾向検査では、対象年齢である小学校五年生から高校三年生のうちのどの年齢においても、女子の方が不安傾向が高かったと指摘している。以上のように、これまでの不安研究においては、一般に女性の方が不安傾向が高いことを示してきている。
 これと同様の傾向が登山においても見られるのではないだろうかという考えのもと、以下のように仮説を立てることにする。
仮説1.「登山場面における不安度は、男性よりも女性の方が高いのではないだろうか」

 次に、序文で触れた、登山家ラインホルト・メスナーの書「ラインホルト・メスナー自伝・自由なる魂を求めて」の中でメスナーが述べていた不安感、及び筆者自身の不安経験より、以下の2つの仮説を立てることにする。
仮説2.「登山者は、天候の変化に不安を感じているのではないか」
仮説3.「実際に雪崩や遭難を経験している人の方が、経験していない人よりも、天候の変化に対してより強く不安を感じているのではないか」
仮説4.「登山歴が浅い人ほど、より高い登山技術を必要とする冒険・挑戦的な山に登ることに対し、不安感を抱くのではないか」

 筆者自身、山に登っていると、多くの登山者に出会う。山岳会や大学の山岳部などグループで登山をしている人たちもいれば、単独で登っている人もよく見かける。この単独行であるが、男性の登山者にはよく見られるが、女性の単独行者を見かけることは少ない。

 山と渓谷社(1995年11月号)が登山者1000人に対して行ったアンケート調査によると、「誰と山に行くか?」という問いに対して、男性の登山者で「単独」と答えた人が30代までの人で26.5%、40代以上では44.8%であるのに対し、女性では30代までの人ではわずかに5.5%、40代以上で16%と男性に比べて大幅に少ないことが報告されていた。
 このように女性が単独行をあまり行おうとしないのには、「ひとりで登る」ということに何か不安を感じているからではないだろうか。そこで、次のように仮説を立てる。
仮説5.「女性は単独行に対して不安を感じているのではないか」

 以上、本研究では、5つの仮説を立て、検討を行うことにする。


III..方法

1)回答者
 回答者は、次の集団に属する人々であった。
日本全国の山登りをしている男女145名(男性101名 女性44名)。

・横須賀登高会41名
・パソコン通信Nifty-serve「山のフォーラム(FYAMA)」74名
・アウトドアショップの来店者8名 
・インターネット「クライミングメーリングリスト」22名
 年齢は21歳から64歳までに及んでいる(平均年齢36歳,S.D.=11.10)。
 登山歴は1年未満から45年に及んでいる(平均登山歴13年,S.D.=11.16)。

2)調査方法
 調査時期は、1996年3月13日〜5月10日にかけて行われた。

個別記入方式の質問紙調査で実施された。横須賀登高会に所属しているものについては定例会にて、パソコン通信Nifty-serve「山のフォーラム(FYAMA)」及びインターネット「クライミングメーリングリスト」に加入しているものについては通信上のE-mailにて、筆者によって実施され、アウトドアショップ来店者については、そのお店の店長によって個別配布個別回収形式で実施された。実施時間は約10分であった。

3)調査内容
<質問紙の構成>
 本研究で用いられた質問紙(別紙参照)は大別して4つから成り立っている。すなわち、第1は、名前、年齢、性別、登山歴、登山形態など分析に必要な事項からなり、いわゆるフェースシート項目である。
 第2は、登山場面における不安尺度であり、回答者は登山における不安26項目に対して5件法により回答した。すなわち、登山において遭遇する可能性があり、かつ不安を喚起させると思われる状況を文章化し、26項目が設定され、回答者はそれについて日頃自分自身が登山に際してどれくらい不安を感じているか、「全く不安を感じない」「やや不安を感じる」「不安を感じる」「かなり不安を感じる」「非常に不安を感じる」の5件法で回答した。質問紙項目の内容は、登山仲間の意見を参考にして、筆者自身の経験に基づき、本研究のために独自に作成された。項目内容の幾つかを示す。

1.高度感がある
2.初めて登山をする
3.標高の高い山に登る
4.雪山に登る
5.ガレ場などの足場の悪いところを登る
    ・
    ・
    ・
    ・
    ・
26.パートナーとはぐれる(別れて行動する)

 以上の26項目に含まれない不安を喚起する状況があるかもしれないので、第3では、これら26項目以外で、登山における不安についての自由記述が回答者に求められた。
 そして、第4で、雪崩や遭難経験の有無が問われた。


IV...結果

 5件法による、登山における不安項目への回答に不備があった18名の回答者を分析から除き、残り127名の有効回答に基づいて、項目間の相関係数が算出され、相関行列を初期値とし、主因子法により因子分析が行われた。Screeテストによって4因子が抽出され、Varimax法により軸の回転が行われた。これら4因子の寄与率は第1因子=32.60%、第2因子=7.65%、第3因子=5.05%、第4因子=5.99%であった。これら4つの因子の累積寄与率は52.29であった。登山不安尺度の因子負荷量については表1に示されている。

表1.登山不安尺度の項目別因子負荷量
変数因子1因子2因子3因子4共通性
1.高度感がある-.224.177.681 .048.548
2.初めて登山をする.073.477 .064.199.277
3.標高の高い山に登る.113.458 .548-.029.523
4.雪山に登る.685.054.348 .104.604
5.ガレ場などの足場の悪いところ・・・.423 .290.582-.088.609
6.行ったことがない山・・・.187 .550.094.208.390
7.天気予報で悪天が予想される.699 .172.028.197.633
8.単独行をする.546.439 .103-.000.501
9.初対面の人(達)と一緒に登る-.117 .407.039.533.466
10.ルートが分からなくなる・・・.652 .259-.060.108.507
11.雷雲・雪雲などの黒い雲が・・・.674 .187-.016.091.498
12.視野がない(濃霧や夜間).692 .067.232.089.545
13.過去に死傷者が多く出ている・・・.465 .386.422.097.553
14.登山中自分がケガをする.328 -.093.175.632.546
15.自分の登山技術よりワンランク上・・.152 .089.611.451.608
16.山岳遭難事故のニュースを見聞き・・.126 .718.172-.073.566
17.雨や風の音がする.397.552 .112-.091.535
18.自分より高い技術レベルの人・・・.139 .422.364.034.331
19.登山中メンバーがケガをする.207 .130.063.758.639
20.風、雨、雪が強いなど天候が悪い.736 .061.114.223.608
21.自分の技術レベルを超えた山に行く.362 .155.538.353.569
22.ロッククライミングをする.361 -.074.532.057.422
23.登攀に時間がかかり周囲が暗く・・・.601 .267.364.170.594
24.自分より低い技術レベルの人・・・.258 .504-.010.518.590
25.登山中ケガをした人を見かける.260 .684.145.224.607
26.パートナーとはぐれる・・・.580 .326.140.063.466
固有値 8.475 1.989 1.576 1.556
寄与率(%) 32.596 7.649 6.061 5.986


 第1因子において、因子負荷量が大である項目は、
   20.風、雨、雪が強いなど天候が悪い
   7.天気予報で悪天が予想される
などで代表されるように、天候の悪化といった自然現象に関わりがあるため、自然現象因子と命名された。

第2因子で因子負荷量が高い項目は、
   16.山岳遭難事故のニュースを見聞きする
   25.登山中ケガをした人を見かける
などで代表されるように、情報からの想像に寄るところがあるので、情報因子と命名された。

 第3因子において、因子負荷量が大きい項目は、
   1.高度感がある
   15.自分の登山技術よりワンランク上の山に挑戦する
   5.ガレ場などの足場の悪いところを登る
などで代表されるように、自己の登山技術レベルが危険と関わってくるような山への挑戦と関わりがあるため、冒険・挑戦因子と命名された。

 第4因子で因子負荷量の高い項目は、
   19.登山中メンバーがケガをする
   14.登山中自分がケガをする
などで代表されるように、同行者への責任や迷惑と関わるため、集団行動因子と命名された。

 全26項目に基づく登山不安尺度の信頼性はCronbachのα係数によると.91で、折半法(奇偶法)によっても、.91であった。表2に各項目全体得点との相関、及び各項目の因子負荷量が示されている。なお、因子負荷量が0.4未満の項目、または複数の因子と重複した項目については、意味が曖昧になるため、因子負荷量の高い方だけを採用した。

表2 登山不安の尺度の因子負荷量と項目−全体得点との相関
項目因 子 負 荷 量 項目と全体得点との相関
因子I因子II因子III因子IV
1.68.21
2.47.34
3.55.49
4.69.64
5.58.61
6.55.46
7.70.58
8.55.59
9.53.27
10.65.53
11.67.52
12.69.58
13.46.68
14.63.41
15.61.50
16.72.45
17.55.50
18.42.42
19.76.42
20.74.59
21.54.61
22.53.40
23.60.71
24.50.54
25.68.61
26.58.58

 全体登山不安平均得点を4つの下位尺度ごとに算出した結果、第1因子の自然現象尺度の平均値は32.9(S.D.=8.42)、第2因子の情報尺度の平均値は15.22(S.D.=4.40)、第3因子の冒険・挑戦尺度の平均値は17.0(S.D.=4.46)、第4因子の集団行動尺度の平均値は11.71(S.D.=3.11)であった。

 登山不安尺度得点を男女別に算出した。その結果、男性(N=89)の平均値は74.72(S.D.=14.80)で、女性(N=39)の平均値は84.33(S.D.=18.94)であった。登山不安得点に関して統計的に有意な性差(t=2.81,p<.01)がみられた。

 次に、4つの下位尺度における男女の不安度を算出、比較を行った。その結果、どの下位尺度においても男性の方が低い値を示した。その中で有為な性差を示したのは、第1因子の自然現象尺度得点(t=2.84,p<.01)と第2因子の情報尺度得点(t=2.33,p<.01)であった(表3参照)。

表3 登山不安の性差
女  性男  性
尺度平均S.D.平均S.D. tP
自然現象37.267.9631.087.99 2.84**
情報16.735.1614.623.95 2.33*
冒険・挑戦18.055.3816.633.94 ns
集団行動11.923.1311.613.13 ns
全体得点84.3318.9474.7214.80 2.81**
*:p<.05 **:p<.01 ns=no significant


 登山歴と全体登山不安得点との相関係数はr= -.37であった。特に、第1因子の自然現象尺度得点と登山歴との間にはr= -.47の相関があった。登山歴をメディアンで分けると、10年未満と10年以上の2集団の不安得点が算出された。その結果、第4因子の集団行動尺度を除いた3尺度において、10年以上の人の方が低い値を示した。下位尺度の中で有為な差を示したのは、第1因子の自然現象尺度得点(t=5.23,p<.01)と、第2因子の情報尺度得点(t=2.01,p<.01)と、第3因子の冒険・挑戦尺度得点(t=2.91,p<.01)であった(表4参照)。

表4 登山歴による不安の比較
登山歴10年未満登山歴10年以上 tP
尺度平均S.D.平均S.D.
自然現象35.477.8728.277.59 5.23**
情報15.794.4814.264.19 2.01*
冒険・挑戦17.864.6815.733.72 2.91**
集団行動11.712.8711.783.57 ns
全体得点81.3816.3570.5815.29 3.68**
*:p<.05 **:p<.01 ns=no significant


 雪崩または遭難の経験のあるものは、本研究では全回答者の20%にすぎなかったが、雪崩・遭難の経験がないものよりも不安が低いようである。雪崩・遭難の経験の有無による不安水準の比較を行った結果、どの下位尺度においても雪崩・遭難経験のない人の方が低い値を示した。その中で有為な差を示したのは、第1因子の自然現象尺度得点(t=3.07,p<.01)であった(表5参照)。

表5 雪崩・遭難の有無による登山不安
雪崩・遭難の経験
尺度あ  るな  い tP
平均S.D.平均S.D.
自然現象28.778.5734.138.07 3.07**
情報13.974.8415.584.24 ns
冒険・挑戦15.904.0817.404.54 ns
集団行動10.883.0611.953.11 ns
全体得点70.6116.2679.6216.26 2.59**
*:p<.05 **:p<.01 ns=no significant


 男女の不安度を項目ごとにt検定した結果、以下の項目に有意差が見られた(表6参照)。

表6
項目女 性男 性
平均S.D.平均S.D. tp
8.単独行をする3.751.282.42 1.076.03**
7.天気予報で悪天が...3.611.102.82 1.153.91**
11.雷雲・雪雲などの....3.75.993.06 1.143.68**
26.パートナーとはぐれる3.791.123.05 1.293.46**
4.雪山に登る3.771.083.09 1.283.25**
5.ガレ場などの足場...3.091.272.39 1.053.21**
17.風や雨の音がする2.36.921.87 .843.03**
3.標高の高い山に登る2.341.141.83 .952.59**
25.登山中ケガをした人...2.541.272.04 .862.31*
20.風・雨・雪が強い...3.641.103.19 1.102.26*
*:p<.05 **:p<.01


 有意差が見られた項目においては、どれも女性の方が不安度が高かった。その中で、内容に『単独(ひとり)』の要素を含む、項目8「単独行をする」と項目26「パートナーとはぐれる(別れてひとりで行動する)」で、高い有意差(項目8 t=6.03,p<.01、項目26 t=3.46,p<.01)が見られた。


V....考察

 仮説1〜5について、支持されたかどうかを結果から仮説検証し、その検証結果に基づき、考察を行うことにする。

 まず、仮説1.「登山場面における不安度は男性よりも女性の方が高いのではないか」であるが、男女別に登山不安尺度平均得点を算出した結果、女性の平均値の方が男性に比べて高く、統計的に有為な差が見られた。つまり、女性の方が不安度が高いということである。この結果、これまでの不安研究が示してきた「不安傾向は、一般に女性の方が男性に比べて高い」ということが、登山においても同様に言えることが示された。従って、仮説1は支持されたと言える。

 次に、仮説2.「登山者は、天候の変化に不安を感じているのではないか」についてであるが、全体登山不安平均得点を4つの下位尺度ごとに算出した結果、第1因子の自然現象尺度で、不安平均得点が高い値を示した。つまり、登山者は自然現象に対して不安を抱いているということであり、従って、仮説2は支持されたと言える。
 そこで、登山者が、自然現象に高い不安を抱いている理由を考察する。この尺度の危険の第一の特徴として「直接的」ということがあげられる。例えば、雪雲・雷雲が近づいてくるといった天候の悪化に代表されるように、自分の身が危険の差し迫った状況に置かれることになる。第二の特徴として、天候の変化は、山の高い低いに関わらずどこでどんな登山形態をとろうと遭遇する可能性がある、という遭遇確率の高い危険であるということがあげられる。この「直接的」と「遭遇確率の高さ」が登山者に不安感を与えているのではないだろうか。

 仮説3では、「雪崩や遭難を実際に経験した人の方が、経験していない人よりも、天候の変化に対してより強く不安を感じているのではないか」と説を立てたが、雪崩・遭難経験の有無による登山不安の比較を行った結果、自然現象についての平均不安得点は雪崩・遭難経験のない人の方が高く、しかも有為な差が見られた。つまり、雪崩や遭難を経験していない人の方が天候の変化に対して強い不安を抱いているということである。従って、仮説3は支持されなかった。
 上記のような結果が出た理由を考察する。雪崩や遭難に遭った直後には、その恐怖体験のため不安感は高まるかもしれないが、時が経つにつれて恐怖体験は一つの経験となり、やがて知識として活用されるようになるのではないか。つまり、一度経験していれば、再度経験した時に、前回の経験を生かしたより良い技術的な対応がとることが出来るし、精神的にも堪え忍ぶ強さが養われており、状況予測もある程度落ち着いて行えるのではないだろうか。この「知っている」ということが、雪崩・遭難経験者の不安感を引き下げていると思われる。

 次に、仮説4.「登山歴が浅い人ほど、より高い登山技術を必要とする冒険・挑戦的な山に登ることに対し、不安感を抱くのではないか」についてであるが、登山歴を10年未満と10年以上に分けて、冒険・挑戦尺度における登山不安得点の比較を行った結果、10年未満のひとの平均不安得点の方が10年以上の人より高いという結果が算出され、統計的に有意な差があった。つまり、10年未満の人の方が冒険・挑戦的なことに対してより強い不安を抱いているということである。従って、仮説4は支持されたと言える。  この結果には、登山歴の長さに伴って得られる『付属物』が関係していると思われる。長い間山に登り続ければ、それに伴い数多くの経験をすることになり、経験から「山に関する知識」を身につけることが出来る。また、何度も繰り返すことで「技術力」も向上する。つまり、「山に関する知識」と「技術力」が上がることで、自分自身の登山者としての自信が着くことになり、この登山歴の浅い人の『自信』の低さが、高度な山に挑戦することに対して不安を抱かせているのではないだろうか。

 仮説5.「女性は単独行に対して不安を抱いているのではないか」についてであるが、男女の不安度を項目ごとにt検定した結果、項目8「単独行をする」と項目26「パートナーとはぐれる(別れてひとりで行動する)」において男女間で有意差が見られ、どちらも女性の方が高い不安度を示していた。つまり、女性はひとりで山を歩くことに対して強く不安を感じているということが示唆されたのである。従って、仮説5は支持されたと言える。
 以上のように、女性がひとりであることに不安を持ち、単独行を好まないという結果が出た理由として、女性だからこその危険の存在がまず挙げられるのではないだろうか。それから、単独行であると全てのことを自分一人でこなさなければならず、それに見合っただけの技術をまだ持っていないのか、または自信が持てないでいるのではないだろうか。技術を持っていない及び自信が持てないというのは、普段の山行時にメンバーへ頼りすぎているからであり、女性の依存心の高さが単独行への不安と関係しているのではないかと思われる。

 仮説外の結果の中にも幾つか興味深いものがあったので、以下、仮説外の結果について考察する。
 自然現象尺度は、仮説3であげた雪崩・遭難経験のある人とない人の比較においてだけでなく、男女間にも有意差が見られ、そして登山歴の比較においては有意差及び相関が見られた。
 まず、性差が生じたことについて考察する。自然現象尺度の平均不安得点を男女別に出したところ、男性よりも女性の方が得点が高く、統計的有為差が見られた。これによって、女性の方が天候の変化に対して強く不安を抱いていることが示唆された。この自然現象について、特に女性が強い不安を示していることの理由であるが、その一つに、女性が抱く肉体的(体力的)劣性意識が関わっているのではないだろうか。悪天候時の行動では、普段よりも体力の消耗が激しく、しかも強風ともなると体重の軽い女性はがっちりとした体格を持つ男性に比べ飛ばされる危険性は高くなる。男性との体格の違いが、気持ちの中での危険率を高め、女性の不安感を強めているのではないだろうか。それからもう一つの理由として、男女の山に対する考え方の違いが挙げられるのではないだろうか。男性には危険なことに敢えて挑戦するといった冒険を好むところがあり、その気持ちが脅威的な自然現象への不安をも引き下げているのではないだろうか。それに対し、女性は強い不安を抱いているが、「不安を感じている」を言い換えると「慎重である」ということになり、女性は男性よりもより安全登山を望んでいると思われる。この違いが不安の差を生んだのではないだろうか。

 次に、登山歴において自然現象尺度で差が生じたことについて考察する。自然現象尺度における登山歴10年以上の人の平均不安得点は、登山歴10年未満の人の数値を大きく下回り、有為差が出た。また、自然現象尺度得点と登山歴の間には負の相関が見られた。つまり、登山歴が浅い人ほど自然現象に対する不安が高く、登山歴が長くなるにつれ不安は下がっているということである。
 このような結果が得られた理由として、やはり登山歴の長さと比例する「経験の量」が差を生じさせたと思われる。天候の変化の予測は、山や岩場を登るといった技術的能力のように、経験量と知識に加わってくる「個人の素質」とは無関係のものである。自然現象を知るには、ある程度の気象知識と数多くの天候状況を実際に経験することが必要となってくる。よって、登山歴の違いおいて、自然現象について大きな差が生じたのではないだろうか。


 仮説外で興味深かった結果に、情報尺度における差が、男女間の比較と、登山歴の違いの比較で生じたことである。
 まず先に、情報尺度についての登山歴比較であるが、登山歴が10年未満の人の方が10年以上の人よりも不安が高く、2集団の間には有意差が算出された。この情報尺度の含む危険は、事故のニュースを聞いたり、怪我人を見かけたりといった「間接的」な危険であり、自分自身へ確実に迫り来るようなものではない。登山は、時には生死が関わってくることもあり、「自分の身は自分で守らなくてはならない」という意識のもと、登山経験から身につけた自己の登山技術力を念頭に置き、自己判断のもとで山に登らなくてはならない。しかし、登山歴の浅い人には自己判断をするだけの経験も能力も不十分であるため、「間接的」で、自分自身に降り懸かってくる確率性の低い危険に対しても想像を働かせるなど、情報に惑わされてしまうのではないだろうか。そのために不安感に差が生じたのではないだろうか。

 それから、男女間においても情報尺度で有為な差がみられ、女性の方が不安が高いという結果が出た。これは、女性の方が男性に比べ、想像力が豊かな傾向にあると言えるのではないだろうか。しかし、これを支持する資料がないため、筆者の憶測に過ぎない。また、本研究の女性回答者は、10年未満の登山歴の人がほとんどであるため(10年未満=41名,10年以上=3名)、性別の差だけでなく、上記で述べた登山歴の差が影響しているのかもしれない。


 以上、本研究では登山者の不安傾向について調査を行ったが、その結論として以下のことが言えると思う。

・従来の不安研究結果と同様に、登山においても男性に比べ女性の方が不安傾向が高かった。

・雪崩や遭難を経験したり、登山経験を重ねる、つまり「知る」ということは不安を引き下げる。

・登山者は、遭遇する確率を自分で操作することが出来ない、もしくは遭遇する確率性が高い、自然の力の脅威について強い不安を抱いている。

<問題点>
 本研究で用いた質問紙は、登山仲間の意見を参考にするなど、筆者自身が独自に作成したものであるが、若干内容不足であった。本研究の26項目に付け加える不安として、以下の不安項目があげられる。(質問紙問3の不安についての自由記述より)
・メンバーの体調不良
・自分の体調不良
・水や食料の不足
・燃料や装備の不足

 それから、登山における不安についての調査であったが、回答者によってもともとの不安傾向に差があったかもしれないので、同時に不安傾向の調査も行う必要があったのではないだろうか。
 また、本研究の結果では、男性にあまり高い不安感が見られなかったが、男性は女性に比べ、不安感情をを表に出そうとしないという傾向はないだろうか。そうなると、自己開示度の調査も行うべきであったのではないだろうか。
 そして、本調査の回答者の内分けについてであるが、男性101名、女性44名と男女の人数に大きく差があり、しかも回答を得られた女性の登山歴はほとんどが10年未満と短かい人が多かったため、結果が性差によるものなのか登山歴によるものなのか判断しにくいところがあった。

<今後の課題>
 本研究では、性差、登山歴、雪崩・遭難経験の有無に着目して研究を行ったが、年齢や、その人が主に行っている登山形態、つまり登山に何を求めているかによっても不安傾向に差を見つけることが出来るのではないだろうか。
 また、情報尺度において、登山歴の違いによる比較を行い、「山岳遭難事故のニュースを見聞きする」などの情報尺度は、登山歴の浅い人へ不安を喚起させるのではないかとしたが、この内容は一般の周囲の人々に「登山は危険なもの」と認識させている内容であるとも言えるとおもう。従って、登山経験者と登山未経験者の間で比較を行っても面白いのではないだろうか。


VI...要約

 筆者自身感じたり、登山仲間が訴えるのを聞いたり、有名登山家の著書の中で書かれている文を読むと、登山において不安が存在することは確かと思われる。そこで本研究では、統計的に不安の存在を示すため、日本全国の山登りをする男女145名から、登山場面における不安度についての質問紙によって回答を得た。その回答を因子分析した結果、自然現象、情報、冒険・挑戦、集団行動の四つの因子が抽出された。これらの尺度について性別、登山歴、雪崩・遭難経験の有無ごとに分析を行った。その結果、これまでの一般的不安研究結果と同様に、男性に比べ女性の方が不安傾向が高いことが分かった。また、経験から得た知識や技術は不安感を引き下げることが分かった。そして、登山者は天候の悪化といった「自然現象」に対して、最も強い不安を抱いていることが分かった。


VII..後書き

 大学生にとって、最大の課題である「卒論」を書き終えた今、正直言ってホッとしています。書いている途中は、提出日の「1月11日」を無事迎えることができるとは、想像もできませんでした。

 私の卒論の題名は『登山場面における登山者の不安傾向の差』で、山登りを題材にしたものです。これは、「今までにまだ誰も研究をしていないことに取り組んでみたい」というちょっとした思いつきから選んだものでしたが、この思いつきに興味を抱き、ご自分の体調がすぐれないにも関わらず、正月休みを返上、ご指導して下さった岩脇先生には、本当に心より感謝しております。岩脇先生、ありがとうございました。

 最後になりましたが、アンケートに協力して下さった方々、そして卒論作成にあたって、いろいろと相談に乗ってくれた山仲間にお礼を申し上げます。ありがとうございました。


VIII.参考文献

上田豊 1991 残照のヤルン・カン−未踏の八千メートル峰登頂記 中公文庫
秋山俊夫 1989 ストレスと欲求不満 北大路書房
Anderson,J.R.L. 1970 The Uleysses Factor,London:Hodder&Stoughton.
エベレスト日本女子登山隊 1975 私たちのエベレスト−女性初登頂の全記録 読売新聞社
平塚晶人 1995 山登りのススメ 神長幹雄(編者) 山と渓谷11月号 山と渓谷社 pp.59-67
岩崎元郎 1991 山で困ったときのテクニック 山と渓谷社
John Cohen.(小野章夫 八田武志 訳) 1977 現代心理学の展開5.行動の洞察 誠信書房
Keller,E.D.&Rowley,V.N. 1962 Child Development,33,p.675.
間宮武 1976 性差心理学 金子書房
M.(ミハイ)チクセントミハイ 1991 楽しむということ 思索社
宮下秀樹 1996 鉄の人「小西政継」 神長幹雄(編者) 山と渓谷12月号 山と渓谷社 pp.172-178
長野県警察山岳遭難救助隊 1995 ザイルをかついだお巡りさん 山と渓谷社
中条一雄 1996 スポーツ一般 山本信(編者) 朝日現代用語・知恵蔵1996 朝日新聞社 pp.1201-1266
Patey,T. ‘Apes or ballerinas?’,Mountain,May 1969 (Reprintedin:PATEY,T. ONE Man's Mountains,London:Gollancz,1971,pp.212-215).
ラインホルト・メスナー 1992 ラインホルトメスナー自伝・自由なる魂を求めて TBSブリタニカ
Ross.E.Helen.(大久保幸郎 鈴木由紀夫 訳) 1976 現代心理学の展開1.特殊環境における行動と知覚 誠信書房
田部井淳子 1981 シシャパンマ1981・春−日本女子登山隊の記録− 女子登攀クラブ


IX...資料

質問用紙

 卒業論文として「登山における不安」を調査しております。お忙しいところ申し訳ご
ざいませんが、アンケートにご協力お願いいたします。
                          昭和女子大学  菅野由起子

あなたの
年齢(  ) 性別 男・女 登山歴(       )  名前(              ) 
登山形態・・・ハイキング 縦走 ロッククライミング その他(         )
   
1.以下の質問で、今までに「不安」と感じたことのある項目、またはその状況を経
  験したことはないが「不安」と感じであろう項目の、最も自分が当てはまると思
  うところに○をつけて下さい。

                               全 や 不 か 非
                               く や 安 な 常
                               不 不 を り に
                               安 安 感 不 不
                               を を じ 安 安
                               感 感 る を を
                               じ じ 感 感 感
                               な る る  じ じ
                               い     る る
                                                          
  1.高度感がある                     1 2 3 4 5
  2.初めて登山をする                   1 2 3 4 5
  3.標高の高い山に登る                  1 2 3 4 5
  4.雪山に登る                      1 2 3 4 5
  5.ガレ場などの足場の悪いところを登る          1 2 3 4 5
  6.行ったことがない山(またはルート)に登る       1 2 3 4 5
  7.天気予報で悪天が予想される              1 2 3 4 5
  8.単独行をする                     1 2 3 4 5
  9.初対面の人(達)と一緒に登る             1 2 3 4 5
 10.ルートが分からなくなる(道に迷う)          1 2 3 4 5
 11.雷雲・雪雲などの黒い雲が近づいてくる         1 2 3 4 5
 12.視界がない(濃霧や夜間)               1 2 3 4 5
 13.過去に死傷者が多く出ている、危険と言われる山に登る  1 2 3 4 5
 14.登山中自分がケガをする                1 2 3 4 5
 15.自分の登山技術よりワンランク上の山に挑戦する     1 2 3 4 5
  16.山岳遭難事故のニュースを見聞きする          1 2 3 4 5
  17.風や雨の音がする                   1 2 3 4 5
 18.自分より高い技術レベルの人(達)と一緒に登る     1 2 3 4 5
 19.登山中メンバーがケガをする              1 2 3 4 5
 20.風、雨、雪が強いなど天候が悪い            1 2 3 4 5
 21.自分の技術レベルを越えた山に行く           1 2 3 4 5
 22.ロッククライミングをする               1 2 3 4 5
 23.登攀に時間がかかり周囲が暗くなってくる        1 2 3 4 5
 24.自分より低い技術レベルの人(達)を連れて登る     1 2 3 4 5
 25.登山中ケガをした人を見かける             1 2 3 4 5
 26.パートナーとはぐれる(別れてひとりで行動する)    1 2 3 4 5


2.上記以外の事柄で「不安」と感じることがあれば、具体的にお書き下さい。
    
記入欄                                   

3.実際に雪崩や遭難等の経験がありますか?  (  はい   いいえ  )

 
                  以上  ご協力ありがとうございました。

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一級遊び人:川名 匡 t_kawana@da2.so-net.or.jp