オフィスK&K
2007.03/14up
山の話
@雪に眠る…雪洞ってなに?
3月も終わり頃になると、厳冬期の深い雪に胸まで浸かってラッセルをしていたのが、いつの間にか雪もしまってきて、やがてカンジキを使わなくても歩けるほどに堅くなります。
実は一年の内で一番山歩きが楽なのが3月を過ぎてから始まるこの残雪期です。
夏は道が無くて行けなかったような山も、残雪期であれば雪の上を好きな道を作って登れます。締まった雪はとても歩きやすくて、行動範囲も広くなります。山スキーやテレマークスキーなどで行動するにも、山全体がまるで圧雪車で整地したスキー場の様に滑りやすくなるこの残雪期の時季が一番楽しいでしょう。
ところで皆さん、
雪は暖かいって知ってます?
ビックリぃ〜
そう、雪は暖かいのです。
今日はその暖かい雪に包まれて眠るお話をしましょう。
雪洞のお話です。
[雪洞]
雪洞とは、積もった雪に掘る穴の事です。"雪"に洞窟の"洞"と書きます。特に雪が沢山積もっている時季は、テントよりも雪洞の方が快適な場合もあります。
スコップとスノーソーという雪専用の鋸を使って作ります。
なんと言っても、雪さえ沢山あれば、拡張工事しほうだい、好きなように作れるのが楽しいです。
しかも雪は皆さんご存じのように0度前後ですから、高い山の中で、たとえばマイナス十何度という寒さの中でも、雪に潜ってしまえば暖かく眠れる訳です。
ただ相手は雪ですから、たとえば中を暖めすぎるとポタポタと滴が垂れてきたりと、内部での生活の為の防水対策はしっかりとしなくてはいけません。
それでも、全く経験が無い人が考えるよりは過ごしやすく快適です。
[作り方]
まず適当な雪の斜面に横穴を掘ります。入り口は人一人が入れる程度の大きさで、適当な深さまで掘り進んだら、今度は内部を掘り広げます。掘った雪は仲間と手分けして外に出します。普通2〜3人用の雪洞で、内部の広さは一坪程度でしょうか。
高さは普通に座って頭が当たらない程度です。掘るのは思ったより簡単で、1〜2時間もあれば立派な雪洞が完成します。
冷たい空気は下に溜まりますから、内部の周りに溝を掘り、入り口より若干高くした床を作ればさらに暖かくなります。壁や天井は持参した食器や鍋などで平らにします。小物を置く棚なども好きなように作れますので、凝り性の人だとちょっと時間がかかるかもしれません。
天井を平らにするのは、でこぼこがあるとその部分からしずくが垂れるからです。
入り口はツエルトなどのシートを使って塞ぎます。酸欠にならないように、空気穴も開けます。最後にテントでも使う断熱マットを床にひきます。断熱マットの下に新聞紙をひくと、マットがツルツルと滑ってしまう事を防げます。またこのマットが無いとお尻が冷えて眠れません。
入り口を塞いでしまえば、ローソク一本を立てるだけで暖かくなります。壁が白いので、ローソク一本でも明るくなります。
「これが結構ムードありです」
また雪は消音効果もあるので音が響くという事が無く、とても静かな空間です。
最近はあまり寝ることが無くなりましたが、昔は良く雪洞を利用しました。吹雪の中で3日間、雪洞に閉じこもった事もあります。少ない食糧をやりくりしてジッと耐えた熊さんの冬眠の様でしたが、それても今となったら楽しい思い出です。
( 楽しいよ〜ん)
また積極的に雪洞を利用してテントなどの装備を持参せずに軽量化を計った山登りもしました。入念に計画を立て、快適に山登りができました。
雪に穴を掘ってつぶれない?と良く聞かれますが、ちゃんと作れば大丈夫です。ただ、2日も3日も連泊すると、中で煮炊きなどをして暖まるため、天井が低くなってきたりしますが、これもその都度修正すれば大丈夫です。
さてもしあなたが、自宅で雪洞の雰囲気を味わいたかったら、中身を空っぽにした押入に入りましょう。私も子供の頃よく、押入に入って遊びましたが、
これ、
ほとんど同じ雰囲気が
味わるんです。ヤホ〜!
押し入れ好き集まれ!
by かわな
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